◆田主智基・・・岡山でbal(balance wear desigh)を立ち上げ、現在はANACHRONORMを展開。独自の世界観を表現することで高い評価を得ている。
◆WonderWorkerGuerrillaBand・・・SASQUATCHfabrix.横山大介、荒木克記のユニット。ハイレベルなデザイン・グラフィックアートは常に注目されている。
[tinyworld] それでは、まず出会いについてお聞かせください。
横山:あれは去年ですね。去年僕と荒木が急に知人に紹介してもらって田主さんに電話して行ったんです。 田主:岡山まで来てくれたんですよ(笑)すごいパワーがあるなあと思った。
荒木:もともと田主さんは岡山にベースをおいていると聞いてたので、やっぱり岡山にラボがあるんならそこに行きたいなって。
横山:それで急に電話させてもらって 田主:あの時来てすぐにそのまま帰ったんだよね(笑)
[tinyworld] その時お互い受けた印象はどうでしたか?
田主:お互いブランドの名前を知ってて、でもどんな人がやってるんだろうって思って岡山駅まで迎えに行って、出てくるときどきどきして。
横山:出会い系みたいな(笑) 田主:結構気合はいってる奴らだなあとおもいましたね。 横山:ラボを見せてもらって。田主部屋にも連れて行ってもらって。
田主:昔のお店ね(笑)でも最初の見た目よりも2人とも腰が低いというか(笑)話しやすかったですね。
[tinyworld] ということは話がはずんだんですか?
荒木:はずまないです(笑)僕らも内向的なんだけど、田主さんも見せてくれないな。というか気を使ってくれているなっていうかんじで。
田主:そりゃ岡山まで来てくれたから気は使ったかな(笑)
荒木:僕らアナクロの服とか田主さんがもってるサンプリングソースとかすっごく気になってたんですけど、はじめてだしあんまりぐいぐい見れないじゃないですか(笑)
田主:モノづくりの話ばっかりしてたね。どうやってつくってるの?とか。その時僕が感じたのは、すごいこだわってつくってるなあと思いましたね。アイテムにもそのこだわりが出てるなって思ったし、2人と話していてもその部分は感じましたね。僕的には好意的でした。あんまりこれまでそういった話をしなかったので。
横山:あんまりモノづくりの話を出来る人がいなくて、田主さんとそういう話ができたのはすごくプラスになりましたね。
田主:そう、モノづくりに集中してるなって感じましたね。話してて生活の8割くらいはそこに行ってるなっていう感じでしたね。そういう意味では僕も近いところがある。
荒木:細かいことが好きなんですね。凝り性なんですね。でも田主さんの服を見ててもここまで細かいことやるんだ。と思いますね。
田主:別のベクトルで細かさが違うんだね(笑)僕も岡山のデニム作ってる人たちと話すときは同じように警戒して。あーそうですか、とか話すんですけど(笑)、細かさのベクトルが違うんでおーっと思うところがありますよね。
横山:田主さんの場合は、もちろんボディもすごいしっかりしてて、ただの加工モノじゃなくて、しっかり岡山の環境をうまく使って、地元の産業をデザインして世界にも輸出できるようなコトを目指しているのかな。と感じますね。やりすぎると田舎くさくなるとか。色々考えて加工とかやってそうですね。
荒木:よくアナクロの商品を見せてもらって2人で話すのは、デニムとかやる必要ないじゃん。ここにいいのがあればこれ買えばいいじゃんとか(笑)
田主:はじめて会ったときも同じこと言ってたね。自分自身ではまだまだと思ってるんで。まだ先があるしそれほどでもない(笑)つくる人のベクトルの方向で全く違うものができるのがデニムなんで、サスクワァッチのモノづくりのこだわりはアイテムにすごく出てると思いますよ。特に柄。柄でそこまでやるかっていう。妥協せずに向かっている感じは受けますね。
[tinyworld] インスパイアされものを教えてください?
田主:サスクワァッチの洋服づくりにもアッと思うし、ドメスティックなものや海外の洋服にもあるし、古着にもあるし。基本的に僕はつくっているモノにその人の意思が入っていると思うんで、そこから素直に受けるものがシンプルかなと思ってます。
荒木:僕たちは保護活動してますね。古着屋を回って危うい古着を保護して行くっていう(笑)
横山:こいつはもう世の中に出れないだろうっていうのを保護して、何かのカタチで出してやるっていう(笑)あとは月並みですけど、街を歩いてないと今っぽさを出せないですね。空気感とか自分の中に貯蔵しているものをリンクしてモノづくりをしていかないとだめなので。街にいて感じるコトは大事ですね。
田主:最近どうですか?
横山:夜中にセンター街をパトロールしたりしてますね(笑)
荒木:やっぱり流行とかこれっぽいね。と思っていたのが、徐々に動いているのを感じたりするので。ああいう格好してる奴減ったなとか、増えてきたな。とか
田主:そこで逆に僕らはこう行きたいとかいう感じなんだよね。
横山:これにはなりたくない。とか消去できたり、こういう中にこういう人がいれば格好いいなあとか。やっぱり人を見てないとだめですね。
[tinyworld] 最近の趣味を教えてください。
田主: 僕はバイクに15年位乗ってますね。5年くらいサボってましたけど。ホンダのCB72に乗ってます。結構速いんですよこれが(笑)
横山:最近はインディアンジュエリーにはまってますね。そこらへんに売ってる民芸品ではなくて、アーティストがつくっていてアメリカの市場だとラルフローレンやクリント・イーストウッド、ヒラリー夫人などがコレクターだったりして年間に1億くらい使っちゃうようなマーケットなんです。日本だとおみやげもの屋さん的なインディアンジュエリーショップしかないんですけど、僕らが興味があるモノは、バックグラウンドも面白くて、久々にぐっとくるモノがあったなっていう感じ。インディアンジュエリーのアーティストがいて、美術界と同じように画廊がその人の作品を買い占めて、結局その人が死ねば価値が上がるので殺すとか(笑)そういうダークな部分があったりして。
荒木:ハマるまでインディアンジュエリーもターコイズもちょっとよくわかんなくて全部一緒に見えてたんだけど、1度入ると全然違うしケバイのが良くなってくるんだよね。
横山:なんか財宝みたいなのがかっこいいって思ったりとか(笑)
荒木:もはやインディアンジュエリーなのか何なのかわからない。自分たちだけで突き進んでるからまわりは全然わからないと思うんですけどね。
横山:この前インディアンジュエリーのコレクターに会ったんですけど、オタクすぎて全く似合ってない(笑)。この人は友達いないのかなあ(笑)とか思ったりして。
田主:やっぱりそこをいかに自分のフィルターをかけるかなんだよね。ファッションって
荒木:格好良くないんですよね。見えなくなってしまうんですよね(笑)
田主:バイク乗りも同じよ。どんどん格好悪くなっていく(笑)そこをいかに自分たちのスタイルでどう格好よくするかなんだよね。
横山:音楽でも何でもディープになればなるほどみんなが見向きをしないものが欲しくなったりして。
田主:そこを格好良く落とし込むのはもしかしたら僕らの仕事かもしれない。
横山:やっぱり受け手がいるから作るわけで、受け手側が「なんだこれっ」ていうのは、決して良いことではなくて、エゴで出しているわけで、やっぱり受け手も「いいな」。って思ってもらって一致したときが一番いいんですよね。多分田主さんも僕らも何も考えずに自分の好きなことだけやってるんだったらお互い気にもならなかったと思うんですよね。モノを見て人がわかるというか、作ってる人と気が合いそうだなと思ったんですよね。
荒木:話せそうだな。と思いました。こちらが聞きたいことが無いと会いたくないんですよね。僕らもフランクに話せる人ではないんで、同じ業界でも全く違う感じのブランドさんとかはなるべく会いたくないんですよね。目線が違うと話せないというかまごついちゃうというか(笑)
(写真左:田主氏所有バイク) (写真右:横山氏、荒木氏所有インディアンジュエリーと田主氏所有HONDAリング)
[tinyworld] 最近生活で大事にされてることはありますか?
荒木:健康食品をとりあえず試す派なんですよ。アサイーっていうブラジルの奇跡のフルーツっていうのがあるんですけど、ブルーベリーやプルーンよりもポリフェノールが30倍くらいあるんですけど、ふだんブルーベリーも食べないのに、いきなりそれを1日2~3本飲むんで何十倍になったり(笑)
田主:健康のために自転車乗ろうかなあとか、サプリ飲もうかなあとか。思ったりするけどタバコ吸ってたりね(笑)気は付けてるんですけどね。
荒木:僕は健康食品なら一通りいきますよ。青汁も流行ってるとき飲んだし
田主:俺も飲んだね。
横山:飲んで安心したいだけなんですよね(笑)
荒木:僕的にはフラシーボ効果を信じてるんです。その気になるみたいな(笑)
[tinyworld] モノづくりは夜がいいんですか?
横山:やっぱり夜誰もいなくなってからとか、電話が鳴らないとかの方がいいですね。
田主:昼間真面目にデスクに座ってやるような仕事ではないですね。
横山:朝早ければ早いのもいいんですけど。夜中とか朝はゆっくりしてるのがいいんですかね。ルーティンワークに出来ないところが多いので。
田主:締め切りでわーっとなって追い詰められる方が出来る方ですね。
荒木:追い詰められて、奇跡を信じてる(笑)みたいな。絶対間に合わないのに何か眠いよな。これは奇跡待ちだな(笑)とか。なかなかネタが出ないときってありますよね。
田主:あるある。一つ決まっていけばそこからトントンと進むんだけどね。
荒木:進まないと「コンビニ行く?」とか、「歩くか」とか言ったりして(笑)
田主:2人だと投げて返ってきて。と出来るからいいよね。一人でやってるとやっぱり誰か欲しいなって思うときがあるので、僕も青木とかに投げたりとかしてますね。
横山:2人のメリットは暴走しないっていうところも大きいですよね。「これありかな?」と聞いて「あり」って言ったらじゃあありなんだなとか。そういう感じはありますよね。
荒木:1個のモノでもハモれるんで、いい感じになるんですよね。
横山:「これちょっとな」ってどっちかが言ったら、世の中でもちょっとなっていう人がいるなって。2人が見て問題がなければみんながちゃんと見れる商品なんだなと。
田主:1人でやってるとかなり不安になるっていうのを初めて体験してますね。今までbalでみんなでやってきたので。 横山:展示会とか不安になりませんか?
田主:なるね(笑)つくってるときもあって、どこかで投げて返って来るところがあればいいなっていう。
横山:止めて引いて見るっていうところがあった方がいいですもんね。
荒木:2人だと自分のエゴを出すというよりもどこかを削ってもらうっていう感じで一つにしていってますね。
田主:僕なんか人生相方制って思ってて、仕事上での相方制度っていうのはいいと思いますよね。
[tinyworld] 今の仕事上で力を入れていることは?
田主:ブランディングっていうのは考えないといけないと思ってますね。アナクロノームっていうのはこういうブランドですよっていうのをどう表現するのかを考えないといけないと思ってます。こないだLAに仕事に行って、すごくそこを感じたんですよね。作っているものというより、すごいブランディングがしっかりしていて。そういう部分は今後力を入れて行きたいですね。
横山:僕らはアナクロってすごく可能性を秘めていると思っていて、もうちょっと外に出たりしていじられた方が逆に跳ね返ってくるものが大きいような気がするんですよね。
田主:それはなんとなく感じるんですけどね。僕は岡山から発信したいっていうのはあるんですけど、国内でのいじられ方はイメージがつくので、海外っていうのも視野に入れて考えてるんですけど、それをするには力不足の部分もあるので、まずはブランディングの部分を意識したいですね。サスクワァッチも海外に出るべきだと思いますよ。
横山:僕らは自分たちのイメージって一つも伝えてなかったんで、もうそろそろ出て行ってもうちょっと大きなこともしたいと思っています。
田主:日本のブランドが海外に出れないっていう理由は色々あると思うんですけど、本当にびびることないなと思うね。絶対的にいいものをつくってるんで。それをどうしたいかっていう意思の問題かな。
[tinyworld] 海外を視野に入れてますか?
田主:今後はどうなるかわからないけど視野にいれて動きつつあります。足りない部分も経験しながらわかると思うんで、どんどん向こうに行かないとわからない。
横山:ユニクロがニューヨークにお店出すじゃないですか、僕らもTシャツで参加するんです。最初どうしようかと思ったんですけど、僕らみたいなのがやるっていうのもおもしろいかなあと。
田主:そうやって世界の人の目に触れるほうが、これからの時代性で良いと思う。
横山:ユニクロってキースヘリングとかバスキアのTシャツとか出してて、おじいさんとかが着てて、何だかわかってないんだろうけど、それってすごいな。と思うんですよね。それを僕らができるのはおもしろいかなと思いますね。僕らは寄って行くというのではなくて、離れていないと存在理由が無い。
田主:そう。だから僕はすごく岡山っていう所はキーワードになってて、東京でなくても地方でどうにかならないかって思っていますね。
[tinyworld] 最後に10年後はどうでしょう?
田主:俺は46でもう隠居してるかな(笑)服はつくってると思いますけどね。自分の店とかWEB持って、バイク乗って。バイク屋で修行とかしてそうですね(笑)
横山:経営とかはしてなさそうですね。
田主:そうだろうね。
横山:僕らも経営はしてないと思うけど、現役でモノづくりの世界に携わっていると思いますね。
荒木:若いカルチャーがメインカルチャーなので、そこの良さをわかりたいですね。
田主:そういうのがなるほどーってわかるようにはありたいね。でも僕らは僕らだしと思ってるんだろうし。多分モノはつくってるんでしょうね。でもそれまでに大きい病気してると思いますよ(笑)46っつたら。それを乗り越えて新しいボランティアに目覚めるとか。でも最近日本沈没とか映画であったり、そっちの方に流れがいってて、1999年ではないけど日本自体に何かがあるような。
荒木:そういうときさみしいですね。洋服がどうとか。逃げるときもやっぱスニーカーにこだわるのかな。これでは外出れないなあとか(笑)
横山:一番いいの履いいくのかな?
田主:いや、丈夫なのを履いて行くんじゃないんですか(笑)。それこそ各ブランドがそういうツールを出すかもしれませんよね。いつでも持ち出せるようなもの。
横山:六ヶ所村の核リサイクルとかも大きい問題だと思うんですよね。核燃料をリサイクルするだけで原発が1年で出す放射能を1日で出すとか。海外でも同じような施設があって、鳥がその施設に入ってきて飛び立とうとしたときには、既に鳥が汚染されているから撃ち殺すとか。すごいことになってますよね。
荒木:そういう時は加工がどうとかどうでもいいんだろうなあ(笑)
田主:微妙に危機感っていうのがあって、自然に行動に出てるのがじわじわ結果として出てるのかなと思いますね。ファッションって平和の象徴で、ピースでありたいですよね。
横山:そうですね、ファッションって平和じゃないとだめですよね。。。なんか最後ものすごい大きい話になりましたね(笑)。
荒木:スケール大きいね
(一同) (笑)
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